【催眠の掛かり具合のマウント問題について】最終更新2020/06/02追記あり
この記事を書いた人:アル@趣味程度の催眠(Twitter@hypno_real)
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前回の記事でこのブログは封印する予定でしたが、とても多くの方にこの記事のタイトルの件を質問してもらう機会があり、やはり記事にまとめておくのがいいと思い、書くことにしました。
「【催眠の掛かり具合のマウント問題】ってどう思いますか?」と複数人に聞かれます。
これについて、自分なりの考えで被験者さまに説明している内容を、ご紹介します。
例え話が多くなっていますが、読み物として読みやすいように書いたつもりなので、ぜひ最後まで読んでみてください。
「マウントをとる」とはどういう意味?
「マウントをとる」とは、相手よりも上のポジションをとり、優位性を自慢したり威圧的な態度をとったりすることです。自分が優れていることを、相手に認めさせたい人が、資産や社会的地位、子どもの学校などを自慢します。
この自慢により、自分が優れていることを認めさせ、優位に立とうとするのです。優位に立ち、相手に認めさせようとする行動をマウントと言います。
引用元:「マウントをとる」の意味とは?マウンティングする人の心理&特徴を解説 | Smartlog
※この私の記事では便宜上、【マウント】を動詞でも名詞でも使い、【マウンティング】という言葉と同じ意味でも使わせていただきます。
①被験者さまから催眠術師側への『マウント行為』。
これは、術師でない方には少しピンとこないかもしれません。しかし、『マウントにはネガティブなものもある』という、以下の文章を読んでいただければ、【催眠に掛かりにくい悩み】のメカニズムが解明できるかもしれません。
②被験者さま同士の横のつながりでの『マウントの取り合い』。
マウント、と聞けばこちらが先に思いつくかもしれません。こちらは、先に身も蓋もないことを言ってしまいますが、ただのコミュニケーション上のトラブルです。催眠は関係なく、共通の話題を持つ集団では容易に起こりえます。これも少しですが、以下の文章で説明します。
さて、これからの本題は一部の人の耳に痛いかもしれませんが、言ってしまいます。
『必要以上の、掛からないんだ愚痴』も【術師に対する逆マウント】です。『必要以上の、掛かりやすいんだ自慢』と、本質は同じです。
私とお話する方で、『催眠に掛からない』と困っていて相談に来る方は、次のようなタイプがあります。
「自分は催眠に掛からない・・・。」と嘆いた後に、
↓↓↓
・「無理やり掛けてほしい。」
・「いっそのこと掛からないことを証明してほしい。」
・「普通は掛からないとおかしいんですよね?」
・「掛かってると周りに言われても信じられない。もっと掛からないといけない。」
・「催眠に興味があって掛かりたいが、自分には掛からないから催眠は存在しないものと見なす。」
・「貴方は術師なんだから掛けられるはずだ。掛けられなかったらニセモノと認定する。」
などなど、様々なことをおっしゃいます。
そこで私は世界的なスポーツと有名人を例に出して、説明します。
【私は貴方をイチローとは思いません。ホームランも求めていません。ただただ野球をしてみませんか?】
マウント・逆マウントの人は『自分はイチローみたいに打てるはず・バッティングマシンで打てないから野球は下手なはず』と思い込んでいるのです。
そんなことは求めていません。野球(=催眠)をしたいだけです。
10-0で負けたら、負けた方は野球をしてなかったのですか?ノーヒットノーランで完封されたら野球じゃないのですか?
私が『暗示という球』を投げるピッチャーだとすれば、貴方がバットを持って打席に立てば、野球成立です。バットを振る必要もありません。見逃し三振でも結構です。
打っても打たなくても、勝っても負けても、私は貴方と野球が出来ればそれでいいです。
【2020/06/01追記ここから】
じゃあ、ホームランバッターは打てて悪いのか、打ったらダメなのか、打ったら他の打てない選手の心を傷つけるから悪なのか、と勘違いされてしまうかもしれません。
そうではなく、『打った後に塁を回ってる最中に【過度にパフォーマンスをしたり、ガッツポーズを相手側のベンチに向けてしたりする】ことが、【余計な軋轢(あつれき)を生む】』ということです。もちろん、個々人の行動は自由ですが、スポーツマンシップ(=マナー)がないと、【自由なのに楽しくない】ということが起こりえます。
【2020/06/01追記ここまで】
【2020/06/02追記ここから】
ここまでホームランの例を挙げてきたので、『0か100か』で捉えてしまった方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそうではありません。
野球で言えば、バントやポテンヒット、振り逃げのような『0と100の間』があります。【とりあえず何か出来たらいいや】というおおらかな心が、実は術師側だけでなく、被験者さまにも求められるのが催眠です。
『いやいや、なんで掛かりに来たこちら側がおおらかな心を持つ努力をしないといけないんだよ。』
『野球はするが、自分はヒットで点を稼いで勝ちたいのではなく、打率が低くても大振りにバットを振ってホームランを打てれば満足で、チームの勝ちは関係ない。』
という方々もいらっしゃるでしょう。
そういう方々と【対話】をするのが、術師の役割です。
まずはキャッチボールをするつもりで、術師と被験者さまが離れて立って、術師が『ボールを投げて』と被験者さまに言ったときに、被験者さまがどう反応するかを見るのです。
術師の手元に被験者さまから投げられたボールが無事に届けば成功です。
投げなかった場合は、2人の距離が近すぎるか遠すぎる、またはそもそもボールを持っていないのかもしれません。
全く関係ない方向に投げた場合は、キャッチボールの説明が足りない、または信頼がないのかもしれません。
ボールを地面に叩きつけた場合は、そもそもこの遊びに恐怖、または苛立ちを感じているのかもしれません。
【2020/06/02追記ここまで】
<なお、野球では横のつながりでのマウントは、言わば「背番号(打順)の自慢・卑屈」と置き換えられるでしょう。背番号争いは自然に起きて当たり前です。それが外から見て「美徳と見えるか、醜悪に見えるか」は、そのチームの内部の雰囲気によります。>
催眠に掛かれないと嘆く人には、私はさらにこう言います。
【なんで野球選手は毎回ホームラン打たないんだろうね?打てば簡単に点が入るし、全力で走らなくてもいいし、良いことしかないのにね?】
この答えは簡単です。打てないんです。打ちたくても打てない人がいるんです。それが当たり前なんです。野球に限らず、何かそのことを努力してもできない人がいて当然なのです。
じゃあ、完全に催眠は諦めないといけないか、と言われればそうではありません。実は野球に例えたのは、ピッチャーとバッターの関係が催眠ととても良く似ているからです。
打ってほしいピッチャーは【良かれと思ってストライクゾーンのど真ん中にアンダースローでゆっくり球を投げます。】
しかし、バッターは【ストライクゾーンのど真ん中が、自分の打ちやすい場所では無かったり、もうすこし直球じゃないとタイミングが合わせられなかったりするので、打てない状態】なのです。
つまり、ピッチャー側が内角外角や高め低めやスピード調節を、バッターのお好みにしてあげることで、打てる可能性が上がるのです。
そのために必要なことは【対話】です。基礎の基礎、キャッチボールです。
【貴方が思っている以上に、私は貴方のことをもっと知りたいです。】